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2014年の展望

2013年総括

2013年を世相面から一括すれば「アベノミクス」ということなのかもしれないが、内実は違うように思う。2013年の前半相場を引っ張ったのは、日銀の緩和政策による円安誘導であるのは確かだ。といっても、貿易収支が赤字に陥った日本にとって、円安は時間の問題であった。そう考えると黒田総裁のバズーカ砲はその誘導弾であったに過ぎない。その後、米国の金融政策の出口戦略の行く末を巡って日本の相場も右往左往と言った具合であった。結局、金融引き締めのスピードを従来と比較して緩やかにするとし、FRBも5月の爆弾発言を反省して落ち着いたといえる。安倍総理が何かしたかといえば、疑問である。

2014年予測
ありきたりの予測に近いが、年初3月あたりまでは順調に日経平均は推移するのではないかと考える。決算期に好業績が多く報道されるに違いない。最大の要因は円安であり、これは今までの行き過ぎた円高水準の是正であって、企業は今までの努力がようやく報われる格好となるのではないだろうか。しかし、それ以降はあまりにも読めない。最大の懸念事項は、FRBの金融引き締めが世界の金融市場へどの程度効いてくるかである。QE3によって世界の金融市場はだぶつき、行き場の無くなった多くの投資家がリスクをとってでも少しでも利回りの高い物件を我先にと争った。その結果、本来投資適格を満たさないものにまでお金が回っていたという状況だろう。こうしたお金が今後逆流する事は明らかであるが、そのスピードと影響がどの程度のものか予測するに難しい。うまくいけば、経済の良い新陳代謝を促す事になろうが、悪くいくと成長産業へ流れるべき資本まで止まりかねない。また、4月以降の消費税増税も鬼門である。これに先駆け、日銀が新たなる金融政策に出ると言われる。今度は、バズーカ砲ではなく何と言われるのだろうか?いづれにせよ、春先に大きなイベントが待ち構えている。

春先に高値1万8千円、その後、ずるずる行くと1万3千円程度までの下げがあると睨む。円相場は、115円ー95円の幅広いレンジを見る。2014年は何やら波乱の気配ありである。先高感が強いものの、多くの人が期待するような2万円越えはないと思う。日本の賃金水準が変わる訳でもないのに、2%のインフレ目標の達成は無茶苦茶である。金融が世の中の原理原則を変える事など出来ようはずも無い。日本の所得構造自体を変えていかなければ、日本経済の未来が右肩上がりと行くまい。

海外中長期予測
欧州
相変わらずドイツが絶好調であるが、それ以外に見るところはない。ギリシアの株価が大きく反発したといっても、国の収益構造が大きく変わった訳ではない。フランスやイギリスを見ていても方向感を見失っているのではないかとしか思えない。日本的な長期低迷とだぶる。

米国
シェール革命の恩恵を受け、大きな期待を寄せられているものの、雇用状況含め力強さを完全に取り戻したとは言い難い。今後、QE3の影響や金融セクターへの規制導入を受け、米国の金融セクターは難局へと向かう事だろう。しかし、米国の潜在能力を考え視野を大きくとって考えてみれば、その視界は悪くない。起業家を次々と産み出す米国の新陳代謝は、多くの優良な未来を創造すると考える。

中国
中国の経済成長は頭打ちし、7%程度となった。今後どの程度下がっていくのだろうか?中国経済をネガティブに考える人は、シャドーバンキングの影響を言う。またポジティブに考える人は、まだまだ豊かでない農村人口が多い事を指摘し、潜在需要の大きさを言う。私としては、そのどちらにも賛同できない。シャドーバンキングの影響はあろうが、こうした借金構造は先進国でもあるもので何も中国に限った事ではない。中国経済が7%超える成長を続ける過程のもとでは、大きな問題とはなるまい。一方、7%を超える成長が今後も順調に続くと考えるかと言えばそれにも同意できない。何故なら、労働人口の低下、環境汚染、政治不安定もさることながら、何よりも新たな需要の創出が非常に難しいからである。中国が技術革新をして、新しいビジネス、技術を産出する国になるとは到底思えない。中国の経済が大きくなっているといっても、投資のほとんどがインフラ投資や不動産投資であって、産業への投資ではない。中国の産業は、世界の工場としての位置づけを今も脱しない。そう考えてみると、世界需要の頭打ちが、中国経済の頭打ちを指し示す。ASEANやアフリカを中心に、世界経済は長期的に大きくなるだろうが、それは順調にいくわけではない。世界経済が低調になれば、中国の債務問題が火を噴く事だろう。それが今年なのか、5年後の事なのか定かではないが、遠い未来でない事は予測する事ができる。

経常赤字国

QE3の縮小に伴い、真っ先に資金逃避が予測されるのが、経常赤字国である。インド、インドネシア、ブラジル、南アフリカ、トルコと行った国々が危険である。第二次通貨危機を引き起こしかねない大きな問題である為、世界中の通貨政策者はこの動きを注視しているはずである。

国内中長期予測
日本の産業構造は変質への真っ只中にある。この空気感を日本政府はよく考えるべきである。従来型の軽電企業(ソニー、パナソニック、シャープ)は行き残りをかけて選択と集中に向かう必要がある。そして、新たに医療産業やバイオ創薬といった未来型産業にシフトしていかなければならない。トヨタがいくら稼いでいるといるといっても、国内の雇用はこれ以上増える事がない。車産業は裾野が広いというものの、その部品産業自体が世界へ出て行ってしまっている。これからは、例えば航空機事業や創エネ事業といった、より高度な部材を必要とする巨大な産業体を産み出していく必要があろう。

農業セクター、医療セクターにも大きなメスを入れる必要がある。農業がもうける事が出来れば、そこに大きな雇用を産み出す事ができる。政府がいくら声高に賃金引き上げを叫んだところで無駄である。賃金水準というのは、政府の希望によって決まるのではなく、純粋な市場原理に基づくものだからだ。国民一人当たりのGDPをどうしてもあげたくば、規制でガチガチの農業セクターや医療セクターを改革し、専門性の高い人間を産業界自体が育てていくしか無い。専門性が無く、付加価値の低い生産行動を続けていても、そのセクターの賃金は絶対に上がる事がないのは自明である。

では、そのように日本社会は変革していく事が出来るだろうか?おそらく、難しいように思う。そもそも、日本の大企業が保守そのもので、大きな変革に耐えられない。重電メーカーやオンリーワンの部品メーカーというのは、将来の明確な計画を元にして、自分たちの計画を創る事ができる。日本人、日本社会というのは、正しい(と思われる)計画があれば、それを必達すべく各人が努力する事ができるのである。しかしながら、世界で競争が激しい昨今の電子産業は、その場その場での判断力が求められ、機動力が重要である。ところが、日本人は教科書通りに勉強する事は教わっているが、教科書を疑う事や、目標をコロコロと変える事を教わって生きていない。従って、そのような企業が巧く生き方を変えれる訳ではないだろう。

思うに、政府の改革は道半ばというところで時間切れが来るのではないだろうか?国の借金は膨れ上がっており、いつか破産するだろう。日本人は解決できない問題を先送りする癖がある。見てみないふりをする人が多い。最悪の事態が来なければ、自分自身を変える事ができないだろう。日本人は自分たちの敗戦を反省する事ができず、押し付けられた憲法に安穏する国である。その憲法が良い憲法なのか、悪い憲法なのか議論もせず。誰かが解決してくれるのを待つ民族なのだ。最悪の事態が起きたとき、自分の身を守るのは自分でしかない。国は何も助けてくれはしない。そのための投資をすべきだろう。残念ながら、日本経済を強く押す事はできない。最も頼りになるのは、良くも悪くも合理主義の国、アメリカ経済であるように思う。

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