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2015年展望

  • 2014年総括

 世相を表す漢字が税ということであったが、増税後の消費落ち込みは思いの外大きく、消費増税に振り回された一年であったといえる。そんな2014年であったが、最もインパクトの大きかった出来事は原油安であろうと思う。春先に1バレル115ドルほどの値をつけていたが、夏場以降下がり続け、年末には53ドルまでに落ち込んだ。昨年の日本の一次エネルギー輸入額が30兆円を超えていたことを考えると、円安を加味したとしても10兆円近いエネルギー特需が日本を見舞うと考えられる。この影響はすでにガソリン価格の下落として現れているが、年明け以降、さらなる広がりを見せることだろう。

 2014年の日本経済は見所が少なく、取引も2013年と比較して低廉であったが、10月末の黒田バズーカ第二弾により円安が加速し、株も連れて上がった。アベノミクスといっても結局のところ、財政ファイナンスによるインフレ政策に過ぎず、実効的な構造改革にはほとんど手をつけられなかったといえる。2020年の財政黒字化はとても見込めそうにない。これが明らかになれば円安はさらに加速することが予測される。

  • 2015年の展望

 年初は、原油安の影響を受けて波乱含みの展開も予想されるが、日本経済のファンダメンタルは手堅く、円安と原油安のダブル効果で幅広い企業群の利幅が広がるものと考えられる。消費増税の反動も収まり、期末決算は好結果が望まれる。大企業の業績アップに伴う賃金の引き上げが順調に起きれば、内需を刺激し2〜3%の成長が期待できそうだ。夏以降にマイナンバーの給付が始まるが、マイナンバー導入によるIT投資が増大する。一方でIT業界の人手不足は深刻化するだろう。2015年はどの業界においても人手不足が続き、このことも賃金上昇の一因になると考えられる。ただ、高決算はあくまでも円安と原油安によるものであるため、日本が構造等的に変革した結果ではなく注意が必要である。

 海外に目を向けると、米国の利上げが始まると考えられる。欧州や中国の経済状況が悪いことから、多くの資金が米国へ移動することになろう。

 

  • 市場

 多くの予想通り、日経平均は2万円を楽に超える展開が予測される。特に年後半には、米国の利上げにより円安が加速し130円を超えて円安が進むのではないかと考える。円安が日本経済に打撃を与えるというが、この批判は全く当たらないと考える。一ドル130円だとしても、歴史的に見て極端に円安な水準ではない。TPP交渉が進む中、海外の安い品物が日本に来ることを考えれば、国内産業を守る上でもさらなる円安が望ましいくらいである。日本の観光業にとっても朗報であり、2015年は1500万人の外国人が訪問するのではないかと考える。京都には続々と新しいラグジャリーホテルがオープンするが、それでも供給不足は否めない。

 原油価格については、年前半は40ドル〜50ドルのレンジで推移するのではないかと思う。このチキンレースはどこかで破綻を迎え、年後半には局所的に原油相場の上げ下げが起こりそうである。ベネズエラやロシアという産油国は原油によって国家を支えており、このまま行けば破綻を迎える。たとえ破綻したとしても原油相場が簡単に上昇しない理由として、世界的な需要の落ち込みと、省エネ化の加速が挙げられる。供給面においても、一旦投資した油井の産出量を下げることは難しく、需給バランスを整えるには数年かかるのではないかと予測する。

 

  • 国際政治

 国際政治を予測するのは非常に難しい所であるが、警戒しなければならないのは原油安による産油国近辺での内紛と紛争である。イスラム国も以前と比べて金回りが悪化することで、新たな問題へと発展する可能性がある。突発的な危機の発生によって、原油安に冷水を浴びせるという展開は十分に予想できる。また、中国の経済状況悪化と、政治腐敗によって大規模なデモが発生するかもしれない。一方、ウクライナ問題はロシア経済の悪化によって好転する可能性があり、キューバとアメリカの国交回復も好感できるニュースである。

 

l 世界経済

 米国の復活、中国のバブル崩壊は既に市場が織り込み始めた事実である。FRBは予定どおり利上げができる状況になれば、ダウ平均は2万ドルを目指すだろう。一方、中国の不動産価格は夏以降本格的な下落を示しており、軟着陸できるのか心配である。欧州については、失業率が回復しておらず経済回復までまだ時間がかかると思われる。東南アジア経済は堅調である。一部の国については、原油安による金融混乱のあおりを受ける可能性がある。

 

  • 日本の中長期観測

 2015年のファンダメンタルは手堅いものの、中長期的には危機的状況が迫っている。第一の課題は、財政の健全化である。日本の社会保障費は40兆円に迫る勢いを見せており、これだけで国庫の収入のほとんどを使ってしまうという異常な状況となっている。手始めに介護報酬にメスが入るものの抜本的なものとは言えない。このままでは、日本の医療や介護といった分野は大きな打撃をうけると思われる。国家債務が膨らみ続ければ、金がなければ医療も介護も受けられないという世の中が現実味を帯びる。企業の医療分野への進出が昨今叫ばれているが、使える金がない以上、国内の伸び代はほとんどないと言って良い。第二の課題は食の課題である。今後5年で80%の農家が高齢化により廃業すると言われている。さらに深刻なのは酪農家であり、こちらは円安による飼料高騰によって経営が立ち行かなくなっている。漁業も同様であり、高齢化に伴う生産人口の減少が大きな課題となっている。詰まるところ、企業の一次産業進出は時間の問題であろう。

 

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