« 2015年1月4日 | トップページ

2016年の展望

2015年総括

2015年の日本は安倍晋三という首相の個性が目立った年であった。どこまで本気なのかと疑っていたものの、結局安保法制を強行採決したことに大変な驚きを覚えた。

この法制の中身の是非についても大いに議論の余地があろうと思うが、立憲主義を掲げる日本において行政府の暴走に関しては甚だ是認し難い。エセナショナリズムを礼賛する人々が実に多くいることに驚くのだが、結局、正当な手続きを踏まずに声の大きさによって大事を決するという一事について、民主主義の本質からは程遠く、なし崩し的に参戦を決意した先の大戦からの反省は何も無いのだということに改めて気づかされる思いである。日本国民は、欧米と比較して中世レベルの品位しか持っていないといえよう。もう少し、深い議論を皆で行い、大事を皆で決めようという姿勢は生まれないのであろうか。

その欧米はどうかといえば、イスラム国との対テロ戦争に心身をすり減らした年であろう。民主主義を抱き国を発展させてきたものの、一神教国の限界を露呈し別の価値観を良くも悪くも受け止められない閉鎖的な国家群が欧米諸国である。アジアやアフリカの台頭著しい今後の世界において、致命傷となりかねない。

この一年は、世界経済も、日本経済も中途半端の一語につきるものだった。夏頃に上海総合指数の暴落が話題となったが、共産党政権が素早く市場を強制的に閉じるという新技で対処し、中国不安を有耶無耶なものとさせてしまった。この事件は、今後中国の発展に大きな禍根を残すことと思う。まともな投資家は、未成熟な市場を冷静に判断していくことだろう。

一方、原油安に端を発した資源安は深刻度を増している。原油安がここまで商品市場に影響を与えるとは驚きであるが、一年を通じて沈み続けた商品市況の影響は、今年度決算に大きく反映され、一部企業においては大幅な減損処理を強いられるであろう。

2016年展望

前述したとおり、商品市場の落ち込みは大きな問題となる。年前半の2015年度決算において、想定以上の減損処理を強いられた結果、資本不足を露呈する企業は多いだろう。これを資源国に目を向けてみると、状況はさらに厳しいものとなる。今年も原油相場は低空飛行を続けると考えられ、国家破綻という大事に向かう可能性がある。

イラン原油の増産、米国原油の輸出解禁に伴い、過剰供給の解消に目処は立たない。需要面を見ても、中国不況は深刻であることから伸びることは考えにくい。中南米の産油国、ロシアは経済面でかなりの緊張を強いられる事が予測できる。また、米国利上げに伴い、シェール関連企業に回っていた潤沢な資金は徐々に引き上げれていくだろう。このことから、シェール関連企業の大規模倒産が想定し得る。これらの多くが、ジャンク債での借り入れであり、一時的にジャンク債のクレジットが高まることが想定される。

一方、こうした原油安はサービス部門や製造部門においてはプラスに働く。航空運賃が下がる事で観光業にとっても追い風が吹き続けることになろう。従って、総合的に見ると日本企業、日本経済にとってはアドバンテージとなる。これは米国のような国においても同様である。米国は今や世界一の産油国ではあるが、世界一の消費国でもある。商品価格が下がることで、消費が刺激され、順調な利上げが望まれるだろう。

日本経済と為替

日本経済を判断する材料は非常に乏しいと言える。中国の底の見えない不況が続くことを考えれば、また資源安によるクラッシュに巻き込まれることを想定すれば、株価は軟調に推移するのではないかと考える。一時的には16000円前後の株安は有り得るだろう。上値は重く、2万円を超えてもそこからの伸びがあまり期待できない。米国の利上げが順調にいかない事も考えられ、しばらく2万円前後でもみ合う形が現実的ではないかと予測する。

為替についても似たような事がいえる。ドル円で125円を超える円安は難しい。ただ、米国利上げが順調であれば、一気に130円を超えていくこともあるのではないかと考える。一方で、何らかの世界経済のトラブルが起これば、115円前後の円高も想定できる。いづれにせよ、国内起因で円相場が動くことはないのではないかと考える。巷では、黒田バズーカー第三弾を期待する声もあるが、既に残りカードは少ない中で無理にカードを切ることは考えにくいのではないかと考える。中国経済の落ち込みが想定を超えるような場合、日銀がより緩和的に動く事も考えれるが、それほど効果的なカードがあるのか疑問である。

総合すると、今年の株価はネガティブに想定する。ただ、足元の企業業績はそれほど悪いものではないため、落ち込んだとしても反転は早いものと考える。

世界経済

2016年は中国経済がどこまで落ちるのかが注目である。ASEANであったり、インドという東南アジア諸国は高い経済成長が見込まれるため、中国の景気後退をどれだけ補填できるかという声もあるが、様々な文化の国が集まっており、必ずしも足並みを揃えた政策を打ち立てられる訳ではないだろう。そうしたことからも、中国を補填するまでにはならず、むしろ、中国不況の煽りを一部受けるのではないかと考える。例えば、マレーシアやインドネシアでは負債も大きい国であり、世界不況に発展すると投資が一気にしぼむ可能性はあるのではないだろうか。

エネルギー消費国である、欧米諸国は概ね堅調に推移するのではないだろうかと考える。米国は金融引き締めに動いているものの、資源安による可処分所得の増加によって消費の刺激が続くのではないかと考える。欧州ではゼロ金利が続いており、資源安の恩恵を大きく受けることだろう。ギリシア問題は依然くすぶっているのだが、景気は落ち着きを取り戻すのではないかと考える。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年1月4日 | トップページ